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クリエイターの想い(KATO YUI)

思えば、初めて傘をつくったのは5年前。
それ以来「傘をつくる」ということは私のライフワークになっています。

最近、新聞の取材などもちょくちょく受ける機会があるんですが、
「何故“傘”を選んだか」ということをよく聞かれます。
自分の表現の手段として、という感じでしょうか。


傘は昔から、大きく形状の変化もなく使われてきたものですが、
あの「ワンタッチで小さな空間を作り出す」という特徴に、

「あ、絶対何か面白いことできる」っていう確信を持ちました。
「一瞬で視界を支配できる」アイテムなんてそうそうなくて。

それから、
ようやく職人さんも見つかり形になりました。

ブランド名は「SUSTO(サスト)」。

意味は、

色がさす、は、この傘が作り出す“体験”のことを表しています。
それは見える景色が変わることかもしれないし、自分の感情が動かされるということかもしれません。
ただ水や光を避けるためではなく、「傘を広げ、さす」という行為をきっかけに何かしらの体験を生み出す装置としてデザインしました。

SUSTOを手に取ってくれた人。
そこに起きる作用が、懐かしい思い出や新しい出会いを呼び起こすものであればいいなと、心から願っています。

 

つづいて「つくるのがどれぐらい大変か」みたいな話をします!
そもそも、SUSTOの原画はコラグラフという版画手法で作られています。
私が学生時代からずっとやってきた手法です。

なつかしい気持ちにしろ、はっとする気づきにしろ、もっと強烈な感情にしろ、
感情というのはとても複雑なグラデーションからなっていて、私はそれを表現したかったです。
そのために、繊細でありながら人の温度感を感じられるコラグラフ、版画という手法はぴったりだったんです。

それはSUSTOでも同様です。

機微を再現するために、素材も厳選しました。
木、紙、布。種類も大きさもバラバラな素材たち。
この傘が叶えたいことを実現するために、これらひとつひとつの個性を活かし、
遊び心豊かに組み合わせています。
版画特有のかすれや重なりといった質感も、感情のグラーデーションを表現しています。

また、SUSTOの傘は、ひと張りひと張りが職人による手作りです。
こうしたこともあり、数量を限定した受注生産方式を取っていますが、
その分細部まで、目で見てわかるほどのこだわりを詰め込み、
長い間ご愛用いただける作りになっています。
丹念につくられた世界に数十本しかないオリジナルの傘が、
大切にしてくれる人の元に届けばいいなと思います。

そして、私がこれからの活動で目指したいところは
「いつのまにかアートに溢れる生活」を目指して
その場所をつくることを考えています。

その考えの根本となるのは
考え方によって行動によって
人生、積み重なることで
生活が彩られていく。
色がグラデーションのようにゆっくりと
広がっていくような、
そんな場所ときっかけを作っていきたい。

アートを通して
たくさんの人達に関わっていきたいです。

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